灯提灯
〜Firefly & Glass〜

 こんな夢を見た。
 外は暗く、私は外に居た。人はそぞろ歩き、皆、提灯を下げている。提灯は硝子製で、中に蛍を捕らえている。ぼう、っと灯りを発して、人々の足を照らしている。だから、人々の顔が見えない。大勢の人が居るのは分かる。が、顔が見えない。手元すら見えない。ただ足が見える。皆裸足で、ぞろぞろ歩いている。
 それを見ている私の手元には、提灯はない。蛍がないから足元が見えない。自分も見えない。ただ茫っと、不確かに立っていた。
 人の群れに入ることなく、茫っと。
 空を仰いでも、月も星も見えない。
 集まり、寄り添い、時に離れるように、ただ提灯が明かりを発している。
 仕方がないので、私もその列に加わることにした。提灯の切れ間を探すが、どこにも見当たらない。ずっと、提灯と、それに照らされた足が続いている。いつか終いが来ると思って待っていても、一向に気配が見えない。振り返って後ろを見るが、終わりは見えない。ずっと、提灯の列が続いている。
 ぞろぞろぞろぞろ……
 音もなく、しずしずと、提灯と裸足が列を作っている。それがずっと、後ろにも、勿論前にも続いている。
 ぞろぞろぞろぞろ……
 その列がいきなり止まった。
 ぴたっと一斉に止まった。
 合図もなかったのに、同時に、一斉に。それがあまりにも見事だったので、目を丸くしてしまう。
 何をするのかと見ていると、一斉に提灯が落とされた。

 ――ばりん!

 と一斉に大きな音が鳴ると思いきや、結果は違い、

 リィィィィィィィィィィィン……

 と鈴のような音がした。四方八方から音がして、頭の上で響いた。
 その余韻が消えない内に、硝子の提灯から解放された蛍がふわっと空に浮かび上がった。と同時に、ばらばらになった硝子の欠片も同じように浮かび上がる。
 一部の蛍はその欠片をまとい、一部は数匹集まって空に昇る。
 それを目で追う。
 どんどん昇っていき、欠片は小さな星に、蛍は少し大きな星に、欠片をまとった蛍はちょっと大きな星に、そして、数匹集まった蛍の群れは、夜空の中でもひときわ大きい、月に変じた。
 それを見届けてから、また目線を戻すと、そこには何もなかった。
 ただ、私の足元に、星になり損ねた小さな欠片が、きらきらと煌いていた。



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あとがきもどき
こういう映像が大好きなんです。どうぞ想像してみてください。
この文章からは難しいかもしれませんが(笑)


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