| 聖夜 〜sock〜 |
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毎年、初雪の日から数えて一月辺りの頃に、北の方角から赤い使者がこの町には来ます。その使者は家々の煙突から金貨を子供の数だけ落とすのです。その金貨は暖炉にさげられた靴下にいつの間にか入っているのです。子供たちは自分の靴下に入った金貨をその日から一年のお守りとして、上等なビロードのお守り袋に入れて大事にするのでした。また、その晩にその金貨を枕の下に敷いて寝ると、自分の見たい夢が見られるのです。 赤い使者が金貨を落とすのは何も子どもたちだけありません。その日から一年の間に子供の生まれる人には銀貨を落とし、同じように一年の間に結婚ができる人には銅貨を落としました。やはりその銀貨も銅貨も、暖炉にさげられた靴下の中に入り、その持ち主に幸運をもたらすのでした。 ですからこの町の家々は、初雪の降った日に、この日のために編んだ毛糸の靴下を、赤々と燃える暖炉にさげるのでした。 マイルの家は町外れにありました。彼の父親は今年の春に遠い町まで出稼ぎに行って今はいません。本当なら初雪の降る頃に帰ってくるはずだったのですが、まだ帰ってきていません。もう初雪から一月も経とうとしている頃でした。マイルの母親はあまり体の丈夫なほうではなく、風邪を少しこじらせて一日の大半をベッドで過ごしていました。他にも妹が一人います。きょうだい仲は良く、体の弱い母親を助けて、二人で家の仕事をしていました。 マイルの家は村にある他の家と同じく、小さくこじんまりとしたものです。家族の集まる今には、大きなレンガ造りの暖炉があります。この時期、いつもならこの暖炉には靴下が下げられているのですが、今年はそれがありません。まだ父親が帰っていないため、その靴下を作る毛糸が買えないのです。赤い使者の靴下は、毎年、子どもの成長に合わせて新調されます。何故なら、一年のうちに成長した子どもの足には、去年の靴下は合わないからです。ですから毎年、その年の子に合った大きさの靴下を、新しい毛糸で編み直さなくてはならないのです。赤い使者は、決して子の足の大きさに合っていない靴下には金貨を投げ入れてはくれないのです。ただし、大人になった人の靴下は別で、成人に達した年に特別な靴下を作り、それ以後はその靴下を時期がくると下げるのです。新調するのは、その靴下に硬貨が入った時だけです。 マイルの家には母親と父親の分の靴下がありますが、父親のはもう結婚しているので下げることはなく、母親のは、もう子供入らないので下げてはいません。ですから、毎年下げられるのは二つの靴下だけ。それも今年はないのです。他の家の暖炉にはすでに靴下がさげられ、その脇には冬になっても葉を落とさないもみの木が、綺麗な飾りをつけて置かれています。それを窓越しに見つけながら、マイルは家路を急いでいました。本当なら立ち止まりたくないのですが、どうしても視線がそちらのほうに行ってしまうのです。 時刻は夕方、西の空が茜色に染まっていきます。この季節の日暮れははやく、今沈み始めたと思ったら、もう真っ暗になっているのです。だから自然とマイルも、いつの間にか余所見をしなくなり手に下げた籠に気をつけながら、足を速めました。籠の中には頂き物のミルクとパンが入っています。生活費の足しにとマイルが働いている雑貨屋の女将さんがくれたものです。 昼頃から降り始めた雪は、雪掻きのされた地面を白く覆っています。その上に足跡をつけながらマイルは家の戸を叩きます。中から鍵を開ける音がして、ゆっくりと向こう側に戸が開きました。 おかえりなさい。と帰宅したマイルを出迎えたのは、妹のユリアです。母親譲りの綺麗な金髪を外からの風になびかせて、にっこり微笑んでいます。 寒かったでしょう。暖炉で暖まって。といいながら、マイルの脱いだコートを受け取ります。 母さんは? と訊きながら、手に持っていた籠を円卓の上に置きました。 ベッドで寝ているわ。今日はだいぶ調子が良いみたい。豆のスープを食べてくれたの。 コートをハンガーにかけます。 そうか。ちょっと見てくるよ。 言って、マイルは母親の部屋に入りました。 母さん、体の調子はどお? と言いながら窓際にあるベッドに近づきました。 マイル、今日は体の調子が良くてね。ベッドの上に起き上がっていた婦人が言いました。顔には穏和な笑みが浮かんでいます。 だめだよ母さん、ちゃんと寝てなくちゃ。お医者様もそう言っていただろう。 マイルは厳しいわね。 婦人はマイルに従って、ベッドに寝ます。 雪は降ってる? カーテンを閉めようとしたマイルに訊きました。 うん、降ってる。この調子なら今夜は吹雪になりそうだよ。 ストーブに近づいて薪を足します。赤々と燃える炎が部屋を照らします。今度はランプに火を入れました。 じゃあ母さん、何かあったらちゃんと呼んでくれよ。 そう言って、マイルは部屋を出ていきました。 母さんはどうだった? ユリアが訊きました。 調子が良いみたいだよ。後でミルクを温めて持っていこう。 マイルは円卓に置いた籠から、パンやミルクを取り出しました。 道具屋の女将さんは本当にいいひとだよ。僕みたいな奴を雇ってくれて、その上こんなものまで持たせてくれるんだから。 本当に。 その後、マイルは食事の支度をしていたユリアを手伝いました。 料理ができると寝たっきりの母親にまず運び、その後二人で食事をしました。 父さん、早く帰ってこないかな…… ベッドに入ったユリアが漏らしました。それを、隣のベッドに寝ていたマイルが聞きました。 大丈夫だよユリア、きっと仕事が長引いてるんだ。大丈夫、年の瀬までには帰ってくるよ。 これはユリアに言っているというよりも、自分に言い聞かせているようでした。 窓の外はひどい吹雪で、ガラス窓ががたがたとなっています。それを聞きながら、二人は深い眠りへと誘われました。 次の日は、朝から吹雪いていました。 今日は道具屋には行けないな。窓の外を見ながら、マイルは漏らしました。昨日、道具屋の女将さんに、吹雪になったら休んでいいよ、と言われていたのです。 兄さん、もうそろそろ聖夜ね。 暖炉前の揺り椅子で、編み物をしていたユリアが言いました。 そうだね。と相槌を打ちます。 聖夜、と言うのは赤い使者の来る晩のことです。決まって、何日か吹雪の続いた後、雪雲が空を覆い、夜なのに真昼のように明るい晩に使者は来ました。 去年も、一昨年も、その前の年も、こういう吹雪が数日続いた後に聖夜がきたのです。 今年は靴下は無理だね。 ユリアが言います。 新しい毛糸を買うお金がないんですもの。でもいいの、今年は赤い使者が来なくても、父さんさえ帰ってきてくれれば…… マイルは知っていました。今ユリアが編んでいるのが自分とユリアの分の靴下だということが。もう小さくなってしまったセーターを解いて編んでいるのです。古い毛糸では赤い使者は金貨を入れてくれません。それでも、暖炉に靴下がさげられていないのは、やはり寂しいものがあるのでしょう。 ですから、そのことをマイルは何も言いませんでした。 そのまま、一日が過ぎました。 次の日も、その次の日も、吹雪は続きます。 食料は地下倉庫に備蓄していたのがあったので、何とか飢えはしのげました。 兄さんどこに行くの? 防寒着を着込む兄に、ユリアは慌てて訊きました。 郵便局に行くんだ。毎週行っているだろう。もしかしたら父さんからの手紙が来ているかもしれない。 さも当然と言う兄を、ユリアは必死で止めました。 そんな兄さん、危険すぎるわ。外は吹雪なのよ。 大丈夫だよユリア。無茶はしない。じゃあ行ってくるね。 マイルはそう言って、外に出ていきました。 兄さん…… 外は、予想以上に風が強かったです。それでもマイルはしっかりと、一歩一歩前に踏み出しました。通りを歩いている人影はありません。こんな吹雪の日に外に出るのは、よっぽどの物好きでないかぎり考えられないことだからです。 郵便局はマイルの家から十分ほど歩いたところにあります。しかし、吹雪のために、着いたのは遅れに遅れて四十分ほど経ったころでした。 こんにちは。と言って中に入ります。扉の鈴が人が来たのを告げました。 おや、マイルくんかい。 カウンターの向こうにいた、眼鏡を駆けた中年の男が、マイルの姿を見て言いました。 こんな吹雪の日によく来たね。ほら冷えただろう。ストーブにあたりなさい。 はい。言葉に甘えて、マイルは隅にたかれたストーブにあたりました。 あの、父からの手紙は届いていますか? 差し出されてカップを受け取りながら、マイルは訊きます。カップの中には、ココアが入っていました。 いや、届いていないよ。 そうですか…… しゅんとなるマイルに男は、 吹雪のためか、今日の分の郵便物は届いていないんだよ。もしかしたら、その中に手紙が入っているのかもしれない。 本当ですか? さあ、断言はできないけどね。待ってるかい? マイルは頷きました。 時計の針が動いて時を刻んでいきます。 かち、こち、かち、こち、かち、こち………… すまないがマイルくん。 声がかけられました。 手紙が届いたんですか? とは訊きません。馬車が止まる音が聞こえなかったからです。 ここを閉めるんで、帰ってくれないかな。 …………はい、分かりました。ありがとうございました。 ぺこりと頭を下げると、マイルは止まぬ吹雪の中を駆けていきました。 走っていると、自然と涙が溢れてきました。 別に、悲しかったわけではありませんでした。それなのに何故か、涙が溢れるのです。 おかえりなさい兄さん。 家に帰ると、ユリアが迎えてくれました。 マイルはもう泣いてはいません。 暖炉を見ると、靴下が二つさげられていました。 あ……、あれね。雰囲気だけでも味わおうと思って。……だめ? いや、いいよ。暖炉に靴下がないと、なんか落ち着かないものね。 マイルの答えに、ユリアは嬉しそうに微笑みました。 手紙は届いてなかったよ。おじさんの話によると、この吹雪のために馬車が遅れてるみたい。 暖炉の前に椅子を持っていきながら言いました。 そっか。大変ね、配達人の人も。 うん……。もしかしたら父さんも、この吹雪のせいで立ち往生しているのかもしれないよ。 暖炉の炎を見ながら言いました。 そうだね。ユリアも頷きました。 ねえ兄さん。 なんだい? 教会のミサだけは行きましょうね。 ……うん、そうだね。 マイルは立ち上がりました。母親の様子を見に行くためです。 吹雪が続いているよ、母さん。 返事がありません。 母さん……? ベッドに近づきました。母親はベッドに横たわっています。顔色が、よくありません。 ! 母さん、母さん、母さん! いくら呼んでも返事はありませんでした。額に手を当ててみるとひどい熱で、辛そうに息をしています。 ユリア、ユリア来るんだっ! 大声で妹を呼びました。 どうしたの兄さん? 大変なんだ、母さんがすごい熱で。僕はお医者様を呼んでくるから、ユリアは母さんを見ていて、 なんですってっ ユリアはベッドに駆け寄って、母親の額に手を当てました。 本当、ひどい熱。 じゃあ行ってくるよユリア。 マイルはすぐに部屋を出ると、コートをはおって吹雪の中を駆け出しました。心なしか、先程よりも風が強いような気がします。 マイル達の家は、医者の先生の家から遠い位置にありました。 風が容赦なくマイルのむきだしになった肌にあたります。口から入った冷たい空気は、マイルの喉を刺激して、激しい痛みを起こします。 それでもマイルは駆けました。 そうして医者の先生の家まで行くと、その木の扉を激しくたたきます。 先生、先生! 僕です、マイルです。母さんがひどい熱を出したんですっ お願いです、僕の家に来てください! 扉はゆっくりと開かれました。 マイル、どうしたんだこんな日に。 白い髭と黒ぶち眼鏡の老紳士が、頬を赤く染めたマイルに言いました。 僕の母さんが、ひどい熱で。 なんじゃと。よし、すぐ待っておれ。 老紳士はマイルを中に入れると、急いで奥に走っていきました。 これを飲んで体を温めなさい。このままではお前さんまで病気になってしまう。 上品な老婦人が、カップに入れた薬湯をすすめました。マイルは丁寧にお礼を行って受け取ると、口に含みます。体の真ん中から暖かくなるようでした。 マイル、さあ一緒に行こう。 奥から、黒い鞄を持った老紳士が戻ってきました。防寒着を着込んだためか、先程よりも太って見えます。 はい先生。 マイルは老紳士に着いて、家を出ました。 こちらの席に乗りたまえ。 老紳士は馬車の御者席をマイルにすすめました。そして自分も底に乗ると、マイルに厚手の毛布を渡し、 これで体を覆いなさい。少しは寒さをしのげるはずだ。 言って、自分も別ので体を覆いました。 はい。 マイルは素直に従ってその毛布を羽織ります。 では行くぞ。はあっ 鞭の音が響きました。 ああどうか神様。僕らから母さんを奪わないでください。 馬車の御者席で、マイルは一心に祈りました。 ただいま、お医者様をお連れしてきたよ。 マイルは奥に叫びました。 こっちです。マイルは老紳士を奥の部屋へと案内します。 兄さん。ああお医者様。母さんを助けてください。 ユリアが睛に涙をためて言ってきました。 ああ安心おし。どれ。老紳士は鞄から聴診器を取り出しました。診察をする老紳士の背中を見ながら、幼い二人は手を取り合って一心に祈っています。 どうか、自分達から母さんを取り上げないでくれ、と。 こりゃいかん、肺炎になりかかっとる。 診察を終えた老紳士が声を上げました。 肺炎ですか。 ああ、こりゃいかん。早く薬を注射せねば……。そこまで言って、老紳士は言葉を飲んでしまいました。 どうしたんですかお医者様、お薬を注射すれば母さんは良くなるんでしょう。とユリアが半分泣いて言いました。 ……高価なものなんですね、そのお薬は。老紳士の表情を読み取って、マイルは少し小さな声で言いました。 老紳士は苦しそうに頷くと、マイルの言う通りだ。この薬はとても高価で、わしの所にもそんなに数はない。本当ならただ同然で注射しててやりたいんだが…… そんな、先生には今までの薬代も待ってもらっているのに、これ以上は望めません。 だけど兄さん、お薬がないと母さんは、母さんは。泣き叫ぶようにユリアは言います。 ……先生、ちょっと待っててください。 マイルは、ユリアの腕を解いて部屋を出ていきました。そして戻ってくると、その両手には金貨が十数枚握られていました。 どうかこのお金で、そのお薬を母さんに注射をしてあげてください。 ……これは……。金貨とマイルの顔を交互に老紳士は見つめました。 お願いします。 ……よし分かった。ただし、薬代は半分でいいよ。 老紳士は金貨を一枚だけ受け取ると、鞄の中から薬を取り出ましした。それを注射器の中に入れると、母親の細い腕に刺します。 後はこの部屋を暖かくして、栄養のあるものを食べさせればじきに良くなる。 今日は、ありがとうございました。 帰り支度をする老紳士を玄関まで送るマイル。ユリアは母親に付き添っていました。 それよりマイル、あのお金はもしかすると。 老紳士の言葉に、マイルは淡い微少を浮かべて。 いいんです。やっぱり母さんには助かってほしいから。 マイル……。すまんな。わしにもう少し力があれば、あの金貨を使わなくてもすんだのに。 本当にいいんですよ。さあ、先生も早めに帰ったほうがいいですよ。吹雪はどんどんひどくなっているみたいだから。 老紳士の背中を押しました。 マイル、もし何かあったら、遠慮なくわしの所に来るんじゃぞ。 はい先生。 馬の蹄と車輪の音が、吹雪の中に消えていきました。 母さんの様子はどうだい? マイルが、ベッドの前に椅子を持ってきて座っているユリアに訊きました。 だいぶ落ち着いているわ。先生の薬のおかげ。 ユリアも、落ち着きを取り戻していた。 ……ねえ兄さん。 ん? なんだい? ユリア。 あの時お医者様に渡した金貨って、もしかして。 いいんだよ。お前が気にすることじゃない。 でも、幸福の金貨を使ってしまったら兄さんが。 ユリア……。 幸福の金貨と言うのは、赤い使者がくれた金貨のことです。幸福の金貨を大人になるまでに使ってしまうと、何かが起こると言われていました。ですからこの町の人たちは、幸福の金貨を決して使わず、大事に大事に箱の中にしまっておくのです。そのため、赤ン坊が生まれたときのプレゼントは、その幸福の金貨を入れる箱というのが一般的でした(プレゼントが重複しないように、皆でお金を出し合って一つの箱を買うのが習わしです)。 大丈夫、何が起こるかは誰も知らないんだ。もしかしたら、そんなに恐ろしいことは起きないのかもしれないよ。それに、母さんを助けるために使ったんだもの、きっと許してくださるさ。 だと、いいんだけど。やっぱり心配だわ。 まったく、ユリアは心配性だなあ。 マイルは、かわいい妹の頭を撫でた。 あれだけひどかった吹雪が、次の日起きてみると止んでいました。 誰かに肩を揺すられて、マイルとユリアは目を覚まします。 …………………… おはよう、マイル、ユリア。 母さんっ! 二人の声は重なって、部屋に響きます。 体はもう大丈夫なの? 辛くはない? 交互に訊いてくる子供たちに、母親は優しい笑みを浮かべて答えます。 薬が効いて、病はほとんど治っていました。 その日の朝は、久しぶりに三人でテーブルを囲みました。 初めにそれに気づいたのは母親です。 あら、あれは……。母親の視線の先には、暖炉にさげられた靴下がありました。 私が編んだの。小さくなってしまったセーターを編んで。飾りにと思って。ユリアは立ち上がると、その靴下をはずすために暖炉に近寄りました。 ごめんなさいね。私が元気ならちゃんと新しい靴下を作れたのに。 いいんだよ、母さん。母さんが元気になってくれるだけで、僕らは嬉しいんだから。 兄さん、大変ちょっと来て。 ユリアが突然上げた声に、二人は顔を彼女のほうに向けました。 どうしたんだい? ユリア。席を立ったマイルが近づきます。 兄さん、ほら、靴下の中を見て。 え? 言われてマイルがユリアの持っている靴下の中を覗き込みました。奥のほうに光るものが見えます。 まさか……。マイルは手を中に入れて、その光るものをつかんで取り出しました。それは、暖炉の光りを受けて綺麗に光る金貨でした。それが二枚。 こっちにも入ってる。と言って、ユリアは自分の靴下の中から、やはり金貨を取り出しました。こちらは一枚。 ……これ、僕が先生に渡したものだ。だってここに、父さんの彫ってくれた僕のイニシャルがあるもの。 幸福の金貨には、もらった者のイニシャルを彫るという習慣がありました(金貨には限らず、銀貨や銅貨にもそれはあります)。 どういうことなんだろう。なんで新しい毛糸の靴下じゃない僕の家に、赤い使者様は来てくださったんだろうか…… 金貨を見つめながら、マイルは呟きました。 午前中に、あの老紳士のお医者様が母親を看にきました。二、三日よくしていればもう大丈夫とのことでした。 その時、マイルは今朝見つけた金貨のことを、この老紳士に訊きました。老紳士は穏和な笑みを浮かべて、あることを話しました。今朝起きてみると、昨日マイルにもらった幸福の金貨がなくなっていて、代わりに薬の代金と今までの治療費の分の金貨が置かれていたそうです。 きっと、赤い使者様が心優しいお前さん達のために与えてくださったんだろう。 僕達の………… 二人は顔を見合わせて、そして微笑みあいました。 午後から郵便局に行くと、父親からの手紙が来ていました。 家に帰って三人で読みました。 仕事が長引いたために帰るのが遅れたけれど、今年中には帰ってくるそうです。 |
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| あとがきもどき |
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「」なしの文章って憧れます。 こういう雰囲気ってよくないですか。 童話は結構憧れるものなんですが、自分で書こうとすると結構難しいところがありますねえ。 |
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