サンタクロースの話
~a ungenuine girl and a unsimple boy~

「結局、サンタクロースは子どもの夢から生まれたものじゃなくて、大人が創り出したものなのよ。あの赤い朊だって、何処かの会社が営業用に造り出した物なんだし。一番始めのサンタクロースは、あんなコントみたいな格好なんてしていなかったと思うの。第一、南半球のサンタクロースはどうするのよ、暑いわよ、あの格好は《
 その少女の話を、彼は静かに聞いている。
「もし仮によ、実際にサンタクロースが居るとしても、結局その正体は、孫にプレゼントを贈って自己満足している老人なのよ。贈って孫が喜ぶからじゃなくて、孫の喜ぶ顔が見たくて、『おじいちゃん大好き』とか言われたくて、だからプレゼントを贈るのよ《
 そうだね、と彼は相槌を打つ。
「だからサンタクロースも、子ども達の喜ぶ顔が見たいからプレゼントを贈るただの老人なのよ《
 なるほど、と彼は頷く。
「で、結局の所、私が何を言いたいかと言うとね《
 少女はここで言葉を切って、彼の姿を頭の先から爪先までじぃっと見てから、
「どうして貴方は、そんな格好をして私の前にいるか、ってことなのよ《
 彼は俗に言うサンタルックをしていた。ご丁寧にあごひげをつけ、肩には白い袋を担いでいる。
 そんな少女の問いに、彼は温和な笑みで持って答えた。
「君の言う通り、自己満足の為だよ《
 彼は担いでいた白い袋を下ろし、中からラッピングされた一抱えほどもあるプレゼントを取り出した。
「メリー・クリスマス《
 差し出されたプレゼントを、少女は何も言わずに受け取った。
「開けていい? と言ってくれないの?《
「……開けていい?《
 社交辞令のように抑揚のない声で言った少女の問いに、どうぞ、と彼は満足げに答える。
 少女は丁寧にリボンを外し、包装紙を破らないように注意を払ってテープを剥がしていく。
「……《
 中から現れたのは、真っ白で、首に赤と緑のリボンが結ばれたでっかいテディベアだった。
「……嬉しい?《
 彼の問いに、少女は「こほん《と咳払いをして、
「嬉しいわ、ありがとう《
 照れ隠しをする為か、或いは自分の欲しかった者を当てられて悔しいのか、それともその両方か、少女は何処か尊大な態度でそう言った。それに彼は満足げな表情を浮かべる。
「でも、ただ渡すだけでよかったんじゃないの? わざわざそんな格好までして《
 少し悔しそうに言った少女に、彼はやはり落ち着いた声で、
「いいんだよ、演出だから《
 にこにこ笑っている。
「所で、どこで手に入れたの? それは《
「もちろんそれは秘密だよ《
 クリスマスの夜の雑踏を、二人は笑いあいながら歩いていく。


 あなたは誰のサンタクロースになりたいですか?

 あなたのサンタクロースは誰ですか?

【終】


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あとがきもどき
 身内からは結構好評でした。特に彼氏様。もう、作品を読んでみてください。こんな彼氏様、欲しいです。
 季節感無視しまくりですが、部誌で発表した時は、ちゃんと冬でした。


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