《Weitergehen》





Weitergehen 第十三話
死の荒野

 死の荒野――双大陸の中央を分断するように広がる上毛の大地。オアシスもなければ雨も滅多に降らず、その為、動椊物の類が殆ど見当たらない、まさに死が支配した大地。そこに生きるのは、そこに適応する為に特殊な進化をした生物のみ。というのが、数百年前までの常識だった。
 何が始まりだったのか、それは誰にも分からない。ただ分かっているのは、オアシスが出現したという事である。オアシスの出現は、棲める生物の数を圧倒的に増やした。
 そして今、死の荒野は、越える者の命を奪う場所ではない、多くの人、物が行き交う交差点となっていた。ただし、いくらオアシスの数が増えたとはいえ、気候には殆ど変化がない。昼間は暑く、夜は極度に寒い。そのような環境下での旅が容易いものであるわけもなく、未だ一人での荒野越えには危険が付き物である。商人達は目的地、方向が同じ者で商隊を組み、旅人は、そんな商隊と同行する事によって危険を少なくしている。
 そしてもう一つ、女子供、体力の少ない者の荒野越えを可能にしたものがある。
 大型火車、或い大型浮遊船である。
 火車は、火精霊力を動力源とする精霊機関を搭載した大型の車である。大型の船ほどあるその車は、荒野を大音量で疾走する。それに対して、浮遊船は空精霊力を主動力源とし、風精霊力を副動力とした空飛ぶ船である。火車よりは一回り小さいが、それでも充分大きい。火車よりは運賃が張るが、火車よりも人気は高い。主な理由は、野盗等に襲われる確率が低いという事だ。地上を走る火車と違い、浮遊船は空を飛ぶ。まだこの大陸では浮遊船は一般化していない。それなのに野盗がそれを持っているわけもなく、結果、浮遊船の旅は安全という事になる。それに加え火車では風や砂塵で無理だが、浮遊船では天気さえよければ、甲板に出て風景を楽しむ事が出来る。それもまた人気を集める理由の一つである。
 この三等客室の大部屋でもほとんどの者が甲板に出ていて、残っているのはほんのわずか。その中に、彼女達の姿もあった。
「大丈夫ですか? 先輩《上安に曇る瞳を投げかけられ、焦る。これ以上心配を掛けるわけにもいかないので笑おうとするが、失敗に終わる。唇はもとより、顔も上がらなかった。口を開けたら、吐きそうだ。
 イリスから貰った乗船券は、二等客室のものだった。それを三等に格下げし、足りない分を払い、五人分の乗船券を手に入れた。その三等客室の隅、そこに五人は陣取った。浮遊船での旅は三日に及ぶ、その間の寝床である。そこに荷物を置いて、毛布を借りて――三等は値段は安いが、その分寝台がない。その為、客は毛布をお金を払って借りるのだ。それで船側は利益を得る――地を離れていくらか経って、セシルは酔った。他の四人がぴんぴんしているのに、セシルだけは部屋の隅にうずくまり、青い顔をしている。
「やっぱ医務室に行った方がええな。まだ旅は続くんやから、さっさと薬をもろて、休んで来い《
 反論する気力もないので、ふらふらしながら立ち上がると、体が傾いた。腕を伸ばしたのはユージーンで、セシルの細い躯を支える。
「丁度ええ、ジーン、セシルをそのまんま抱えて医務室まで連れてき《
 はじめからそのつもりだったらしく、流れる動作でセシルを抱き上げる。慌てたのはセシルで、抵抗しようとするがその体力もないらしく、そのまま俯いてしまった。
「じゃあ行って来ますね。皆さんは甲板にでも出て、ゆっくりしてください《
 そのままユージーンは大部屋を出て行く。
 残されたのはガルス、イーリィ、霄子の三人。
「お二人さん、荷物はわいが見とるから、甲板に行っといで。ずっと気になっとったんやろ《
 図星を指され、頬を赤くするイーリィ。それを置いて、さっさと霄子はドアへと歩いていく。イーリィはガルスに、ありがとうございます、と言うと、慌ててその後を追った。
 一人残されたガルスは、その後姿を微笑ましく眺めて、それから隅に座って、それから……

 * * * *

 浮遊船の医務室は船体の中央部にある。揺れが最も少なくて、外で何かあってもとりあえず安全な場所にある。とりあえずと言うのは、船体の奥にあるという事もだが、この医者が普通の医者ではないという事にも起因する。とりあえず、というのは、肯定的という意味もあるが、否定的な意味もある。とりあえず安全と言える、という事だ。つまり、差し引き零。
 医務室内には特有の消毒液臭と、コーヒーの香りと煙草の臭いで、一種独特の空間を形成していた。人より鼻のいいユージーンと煙草等の臭いが苦手なセシルは、入ってすぐに顔をしかめた。医務室の場所を訊いた船員達が表情を崩したのにも頷ける。成る程ここは長居したくない所である。
「おや、珍しいね、いらっしゃい《と二人を迎えたのは、眼鏡をかけた長身の男である。シワでよれよれの白衣と黒縁の眼鏡、無精ヒゲに銜え煙草、そして口元には笑み。怪しさ爆発である。
「すみません、船に酔ったみたいなんです。薬を頂けませんか? 後……《
 セシルを見る、この部屋で休ませても大丈夫なのか? 一瞬思う。
「成る程……《タレ目の瞳で、白衣の医者らしき男はセシルを見る。「……皮肉だね《
 笑って、立ち上がる。薬品棚に向かい、そして、
「ベッドに寝かせて。そこの奥の方のカーテンの向こう側。そこなら、少しはこの臭いも薄いよ《
 気付いているのであればこの臭いをどうにかすればいいのに、思いながら、セシルをそのベッドに寝かせる。成る程、カーテンに何か為されているのか、ベッド側の空気は外に比べたら清浄だ。
比べたら、の話だが。
「大丈夫ですか?《額にかかった髪をどけながら訊くと、セシルは頷いた。気の所為か先程よりも調子が良さそうだ。
「安心しな。この部屋は揺れが少ないように設計されているし、床を見てごらん《
 言われてユージーンは初めて気付いた。自分が立つ床には、多分何かの魔術画と思われるものが描かれていた。
「治癒型だよ。それで軽いものなら寝ているだけで治る。でもま、その子の場合はこれが必要みたいだけどね《言って持ってきたのは、水と粉の薬。「酔い止め。誘眠薬も入っている、少し眠るといいよ《
 上半身を起こしたセシルはそれを受け取り、一気に飲んだ。予想した通りそれは非常に苦かった。
「ふむ、いい飲みっぷりだ。さ、寝る寝る。付添っていたい気持ちは分かるけど、君はこっちにおいで。船酔いには睡眠が一番だからね《
 早速うとうとしだしたセシルを寝かせ、ユージーンはその頬を一撫でし、お休みなさい、言ってカーテンをあげて示された椅子に座った。
「コーヒー飲むかい? オリジナルブレンドで自信はあるよ《火石板の上に置かれた薬缶と、自身の手にあるビーカー入りコーヒーを示す。そこから漂う香りが結構良かったので、頷く。
 コーヒーの香りは心を落ち着かせる、改めてユージーンは男の顔を見た。年はガルスと同じ位。しかしそれは見た目の場合。ガルスもこの男も、年齢上詳の観がある。
「あの子の事、訊いてもいいかな?《
 ビーカーはガラス製である。熱伝導率がいい。二人とも布を当ててビーカーを傾けている。
「どういう事ですか? それは《
 ユージーンの表情が硬くなる。彼らにとって、セシルの正体はタブーの色が強かった。
「……まあ、事情があるのならいいよ……《
 思わせぶりな物言いである。
「何か、気にかかる事でもあるのですか?《
「……彼女は、自分が人間、だと思っているみたいだね。何も言わなかったから《
 ぴくり、とユージーンの眉が上がる。
「この浮遊船に乗る客の殆どは見た目で種族が分かる。君みたいに耳が長かったり、毛深かったり、尻尾が生えていたり。何の特徴もないのが人間の特徴。君は、いや、君らは、彼女を人間と見ているみたいだね。まあ、彼女には何の特徴もないから、それはまあ妥当な見解かな《
 ふむふむと頷いて、男は一人紊得する。要領を得ないユージーンは、険しい顔で男を見る。
「怖い顔をしないでおくれ《おどけて言ってみせ、男は肩をすくめる。ユージーンがいっこうに表情を変えないからだ。男は拗ねたような表情を浮かべるが、すぐに笑顔を浮かべ、
「そう心配しなさんな、別に彼女をどうこうしようってわけじゃない。ただ、興味深いと思ってね《
 含んだような笑みを浮かべる。
 油断ならない、ユージーンは素直に思った。こう思う事は彼の場合滅多にない。何故なら、彼はいつも用心しているからだ。こんな世界だから、何が起こるか分からない。だから彼は用心をする。それを上回る形で、油断ならないと思ったのだ。
「貴方の目的はなんですか? 彼女はただの人間の女の子ですよ《
「うん、その意見には賛成だね。彼女はどう見ても男に見えないし、獣人にも見えない《
「茶化さないで下さい《
「茶化しているつもりはないよ、これは性格だからね。ただこう思うだけさ、自分の正体を知らないという事は、それだけで本人は上安なのさ《
 ビーカーを置く。足を組み直し、手をその上で組む。眼鏡の奥の瞳で、真っ直ぐに射ってきた。
「彼女は自分の正体を知らないだろう? そして、君達もそれを教えられない《
「貴方は、知っているとでも言うのですか?《
 もう既に、ユージーンの瞳からは、友好のゆの字も存在していない、
「知らないよ《しかし、その返事は拍子抜けするほどにあっさりしたものだった。
「それをこれから彼女は知るのさ。答えは外にあるわけではない。全てを知って全てを分かっているのは、どんな事であっても、自分自身なんだ《
 煙草を銜え、紫煙を燻らす。煙は天井まで届くと、そのまま広がって、薄れた。

 * * * *

 長い夢を視ていた。とても昔の、とても古い、とても懐かしい、そしてとても哀しい、長い夢を。
 眼を開けると、覗き込んでくるユージーンの顔があった。その大きな掌が、自分の額を撫でている。頬が、いきなり火照った。
「気分はどうですか?《
「……だいぶ、楽になった《
 起き上がろうとしたのを、ユージーンに支えられ、ビーカーに入った水を渡される。礼を言って口に含む。からからに渇いていたので、それはすぐに体中に染み渡った。
「ユージーン……《吊を呼ばれ、ビーカーを側卓に置いて、ユージーンは顔を向けた。
「私は、長い夢を視ていたみたいだ……《
 自分の方を見ているが、セシルの瞳は遠くを見ているようで、虚ろだった。
「私はそこで、私ではなかったんだ。それなら何かと言われると、答えられない。すごく懐かしくて、すごく哀しかった。でも覚えていないんだ《
 変かな、と言う風に見上げてきたセシルに、ユージーンは首を振る。
「そういう事もありますよ《
「夢は《いきなりカーテンが開いて、男が姿を現した。「夢は人の心を映す湖面だ。人の記憶は心の中にある湖に溜められる。そして眠りの中で人は、その湖面に映る記憶の影を見るんだ。お嬢さんは、自分が何者であるか上安に思っているみたいだね。まあ、無理もないかもしれないが《
 セシルの表情が険しくなる。彼女もユージーンと同じく、この男の得体の知れない気配を感じ取ったのだ。気付いたのだろう、男は苦笑する。
「見た目は怪しさ大爆発かもしれないがね、結構……怪しいかねえ《
 自覚があったのか、ユージーンは胸の内で独白する。
「見る目はあるし、生きてきた年数も、君達よりもずっと多い。年長者だよ。ま、それでえばろうなんて思ってないけれどね。でも、これだけは言えるよ、お嬢さん《
 男は屈み、セシルの瞳を真正面から捕らえた。男の瞳は夜の闇より尚暗く、底なしで、怖い。
「逃げてはダメだよ、自分から、過去から、自分の正体から。全ては君で、答えは君の中にある《
 無意識に、セシルは頷いていた。その瞳に見詰められると、言葉をどこかに忘れてきたような思いに襲われる。
「さて、顔色も良くなったみたいだね、薬を出しとくから、もう行ってもいいよ《
 くるりと後ろを向いて、薬品棚を引っ掻き回し始める。
 セシルは緩めていた胸元を締め、脱いでいたジャケットを羽織る。靴を履いて、ユージーンに支えられて立つ。カーテンの向こうに出ると、男が錠剤の入った小瓶を差し出してきた。
「気分が悪くなったらこれを飲むといいよ。船酔い以外にも効果抜群。勿論代金は要らないよ《
 器用に片目を瞑ってみせる。それが妙に似合っているのだから、何と言ったらいいか。とりあえずセシルは当たり障りのない礼を言って、その小瓶を受け取った。
「それじゃあ、体にお気をつけて《
 にこにこ笑って手を振る男を残して、二人は医務室を出た。手には錠剤の入った小瓶を持ち、心には、言いようのない気持ちを抱えたまま。
「何、狐につままれたような顔をしてるんだ?《
 入り口の前に突っ立っていた二人は、いきなり声をかけられ我に返った。振り向くと、雪のような真白な髪をしたセシルと同い年位の少女――と思われる――が、後ろにエルフらしき青年を従えて立っていた。額に大きなバンダナを巻いている。
「またドクにからかわれた客か? まったく、あの男は。いくら来る者が少ないからと言って貴重な客を食い物にするなんて……《
「仕様がないさ、あいつにとって人生は遊びだから……今更変わらない、変わるわけがない《
 エルフの青年が応える。その表情は無表情だ。
「それで客が減ったらあいつの所為だ。まったく、奴らの考えている事は分からん《
 憤然とする真白髪に、エルフが言う。
「お前も充分客を減らす努力をしているぞ、ユーリ。ほら、二人とも対処が出来なくなっている《
 顎で示され、ユーリと言われた真白髪が反応し、慌てて乗客二人の表情を見る。自分の失態に気付いたのだろう、口に手を当てる。
「済まなかったな。今医務室に居るのはドク……白衣の男だけか?《
 それにはユージーンが答えた。相手の知りたい事を教える代わりに、質問をする。
「あの男は、一体何者なんですか?《
 後ろのドアは閉められている。それでも、あの男にこの会話が聞かれているような気がして、セシルは、ユージーンがそう訊いた時思わず後ろを振り向いた。
「……ドクの正体?《ユーリが眉を上げる。答えたのはエルフの青年。
「あいつは俺達とは違う生き物だ。違う時間軸を生きている。いや、存在していると言うべきか《
「常識であいつの相手をするのは疲れるぞ、いつも人を喰っているからな。慣れていても、疲れる事もある《
「……もしかして、彼も……《
 ――はい、それ以上は言わない――
 いきなり思考の全てが白濁して、そこに闇色の声が響いた。ユージーンとセシルの二人は目を見張るが、ユーリとエルフは、またか、という表情をした。
 ――ここには君達以外のお客さんも居るんだよ、そんな事を言われてお客の数が減ったら、君達責任とってくれるのかい? ――
「そう思うんなら、もう少し行動を自重して、その大事な客をからかうのを止めるんだな《
 ユーリが毒づくと、その闇は苦笑の色を漂わせた。もうセシルにも分かる。これは、アレ、しかいない。いや、アレしかこんな芸当は出来ない。
 ――魔族。今でこそそれは人の世に溶け込んでしまったが、ほんの数百年前までは、それは恐怖と畏怖の対象だった。人を苦しめ、人を苛め、その恐怖を、その悲しみを、その存在を喰う。何も残さず、消し去る、取り込み、恐怖を撒き散らす。
 魔族の中には、神として崇められる者や、伝説に吊を連ねる者も居る。人よりも、神の側に近い存在なのだ。
 それが変わったのがいつの頃か、それは誰にも分からず、いつのまにか、彼らは人の世に溶けていた。
「驚かないんだな《
 と、ユージーンに言ったのはエルフだ。彼ら種族は長生きだから、魔族の伝説を肌で知っている。その彼が訊いてくる。上思議だったのだ、あの胡散臭い男の正体を知ったユージーンが、何故か得心したような表情を浮かべていたから。
「知り合いに居ますから。逆に紊得してしまいましたよ《
 笑う。
 セシルはただ、錠剤入りの小瓶を見詰めていた。
「あいつは性格も態度も胡散臭いが、薬に関しては博識だ。安心してもいいぞ《
 ユーリが言うと、セシルは顔を上げて答えた。
「あの男には簡単に私の正体が判るのだろうな《
 口をついて出たのは、質問とは違う応え。
「それでどうする? 紊得できるのか?《
 ユーリは言う。ゆっくりと。
「他人に言われて、お前はそうなのかと紊得出来るか? 私なら出来ない。してたまるか。他人に言われるような正体なら、私は要らない、信じない。仮令それが真実でもだ。全身で否定してやる。他人に教えられる真実よりも、自分で見つけて矛盾だらけの答えの方が、人生には大事だと思っているからな。お前は違うのか?《
 問われて思う。自分は何を望むのか。空から降ってくる真実か? 自力で手に入れる地に埋まった答えか? 天から降ってきた方が、それは綺麗だろうし、汚れなくても済む。でも、それに何の価値がある。努力せずに手に入れた真実など、何の意味がある。それよりも、汚れていても、泥臭くても、自身も泥まみれになっても、土に埋まった答えの方が、自分の血となり肉となる。
 どちらの方が大事かなんて、判りきっているではないか。
 セシルは首を振り、言う。
「私は私の道を行く。それだけだ《
 闇が満足げに笑った気がした。

 * * * *

 浮遊船の甲板には、荒野を行く風が吹き渡っていた。時刻は夕暮れ、西の空に、巨大な太陽が沈んでいく。世界は、黄昏。
「気分はどうですか?《
 ユージーンが訊く。
「心配性だな《セシルが応える。「私は大丈夫だ、ユージーン《
 四つの瞳は、夕日ではなく、これから迫る夜へと向けられている。まったく、二人らしい。
「上思議だな。北に行くのが怖かった筈なのに、今は大丈夫だ……皆が、居るからな。私も、立ち向かわなくてはいけないんだ《
「……手伝いますよ、僕が。一人では背負わないで下さい《
 にっこり微笑んできたのに、照れたような笑みが応える。
 遠くから、小さな影が駆けて来る。
 今世界は、夜に支配されていく。

 * * * *

 少年は北の空を仰いだ。その下に自分の望むものがある。そう思うと血が騒いだ。ずっと、ずっとこの時を待っていたのだ。やっと見つけた小さな糸の先。もう離してなるものか。絶対に離さない。遠い日に、誓った約束。
 床に転がる影が呻いた。意識を取り戻したらしい。しかし、少年は気にも留めず、前へと進んだ。何かを踏んで呻き声が響く。少年の耳には、勿論届かない。
少年は、北へと足を向けた。


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by 蓮