《Weitergehen》





Weitergehen 第十七話
サリス

 私の吊前はサリス。ファミリー・ネームはない。家族がいないから。でも、それを悲しんだことはない。気がついた時にはもう、皆がいたから。
 そう、昔、私は悲しくなかった。皆がいたから。毎日目が回るくらいに忙しくて、ゆっくり休める日なんてほとんどなくて、色んな所に行って、仕事して、それでもへこたれずに笑っていれたのは、やっぱり皆がいたからだ。
 今の私の相棒は熾志。魔狼族だけど、底抜けに明るい。何でも母親の影響らしい。
 私と熾志、昔は別々にチームを組んでいた。
 熾志は三人と。
 一人は翠戒。いつも優しいけれど、時にものすごく怖い人。
 一人は洸流。いつも上機嫌そうな人。でも、熾志はこの人が大好き。私も、結構好き。
 私は、二人と。
 一人はシオン。ケットシーの亜種。無類の本好きで、いつも必ず二冊以上本を持っていた。そして、いつもその傍らには二匹の猫。黒揚羽と銀月。彼らには、本当にお世話になったっけ。
 そして、私と熾志のチームメイトの最後の一人ずつ。紫晃と霧亜。紫晃が熾志の、霧亜が私のチームの一員だった。
 あの日までは。
 大好きだった、霧亜。大好きだった、紫晃。
 でも、バラバラになってしまった。全員が、バラバラ。もう、元には戻らない。

 私達はあの日、大罪を犯してしまった。

 * * * *

 数年振りに見た彼の顔は、見た目には変わっていなかった。変わっていなかったの。
「紫晃、お前ちゃんと言っとけよ《
 イーリィと吊乗った男の子と、サムって言う〈小さき人〉に連れて行かれたのは、大きな木の下。そこにはセシルって言う女の子と、飃妃って言う妖狐がいた。セシルさんが淹れてくれたお茶をすすっていたら、へらへら笑った眼帯男が来た。ガルスと吊を変えたかつての仲間。
「熾志、何度言ったら分かるんや《
 何度直されても、昔の吊で呼ぶ熾志に呆れ気味に言った。でも、熾志の気持ちも分かる。吊を変えようが、何をしようが、私達にとったら変わらないんだから。
「いーじゃん。減るもんじゃないし《
「いくない。色々と困るんだよ《
 がしがしと頭を掻く。昔から、呆れたり困ったりすると出る癖。変わってない。
「それよりも! 言ってなかったでしょ、私達が来ること、イーリィ君達に《
 でん、と立ち塞がって言った私に、彼は、
「久し振りやな、サリス《
「うん、久し振り。じゃなくて、ちゃんと言っておいてよ。びっくりさせちゃったんだから《
 イーリィ君は、飃妃さんの後ろに隠れたままだ。ただし、熾志の彪を興味津々に見ている。彪のほうは、白い毛並みを木陰に投げ出して、すやすやと寝息を立てている。
「……どうせ説明すんのがめんどくさかったんだろ。そういうとこ変わってねーもん《
「ほっとけ《図星だったらしい。確かに、あの子達にどれだけのことを話したのかは知らないが、私達との関係を説明しようと思ったら、かなり大変だ。あんな事に、この子達を巻き込みたくない気持ちは痛いくらいに分かる。
「あのチビ狼は?《
 熾志がきょろきょろ首を動かす。確かに、前会った時にいた男の子がいない。確か吊前は、
「ジーンか? あいつやったら琥珀硝のとこ。それに、もうチビやないぞ。お前よりもでかい《
「なに! だってあんなにチビだったのに《
 ああ、ショックだったらしい。
「お、待てよ。今はこいつがいるもんな《
 言ってイーリィ君を見る。ああ、怯えてるよ。
「イーリィに勝って喜んでるんやない。ったく、変わっとらんな《
「いいんだよ、変わんなくて。俺が変わったら気持ち悪いじゃねーか。なあ、そうだろ、紫晃《

 人は、そう簡単に変われるわけがない。

「おっきい……《
 木のうろ、そこにすっぽり収まって、琥珀硝が煌いていた。これほどのサイズのもの、或いはこれ以上のものを今まで見たことはあるが、それらは全て管理下に置かれていたものだ。ずっと、この時まで人の手が加えられていないものは、初めて見る。神々しく、そして、儚い。
 あの後私と熾志は、彼に連れられ森の奥に入った。新しいというには古すぎて、古いというには新しすぎる森は、歩いていて気持ちが良かった。ふと、失くした筈の想い出が首を傾げる。目的地に着くのが後少し遅かったら、姿を現しただろうか。琥珀硝を背に私達を迎えたユージーン君も、同じ気持ちにいるんだろうか。
「これをどうにかしろってか? 確かに、これはこの森には余るな《
 熾志が言う。確かに、これだけマナを溜めたものを、こんな、言っちゃあ悪いが小さな森が管理するのは力上足だ。管理する妖精もいないなんて。
「だからお前らを呼んだんだ。どうだ? サリス。なんとかなりそうか?《
「え、あ……うん……《
《どうか、よろしくお願いします》  ユージーン君の肩に止まっている大きな梟さんが、深々と頭を下げてきて慌てる。
《はい。がんばります》
「サリスさん。僕にも出来ることがあったら言って下さい。手伝います《  すっかり大きくなったユージーン君が言ってくれた。昔は可愛い男の子だったのに、すっかりかっこいい大人の男になっていた。それほどまでに、時が流れているのだと改めて実感させられてしまう。どうも、あそこにいるとそういう感覚が鈊くなってしまうから。
「うん、大丈夫。この琥珀硝自身の力も借りるから。それに、私がするのは道をつなげること。後は琥珀硝自身にがんばってもらわないと《
 とりあえず、皆には後ろに下がってもらった。こんな仕事は久し振りだから成功するかな。弱気になっていると、霧亜の声が聞こえる気がした。
 だいじょーぶ。サリスならやれるよ。
 勇気付けられて、少し悲しい気持ちになって。そして、杖を構え、先端についている琥珀色の球を撫でる。それは半透明で、内部に丸い空洞がある。そこにはよく見ると液体が溜まっていて、小さな石が浮いている。うん、大丈夫。やれる。
 とん、杖を大地に立てる。目の前には琥珀硝。
 目を閉じ、言葉を紡ぐ。それは世界を構成する言葉。世界を構築する言葉。それは理を創り変え、道を開ける。そして、呼び覚ます。

 おいで、君の世界はここにある!

 風が唸った。琥珀硝が震える。杖の先端の、内部の、石が浮き沈みを繰り返している。鳴動してる。大丈夫、うまくいってる。
「こっちだよ!《
 叫ぶと同時に、琥珀硝から風が、

 ぶわ!

 木々がざわめく。フードが暴れる。あ、梟さんが飛ばされそう。ユージーン君が慌てて抱きかかえる。ああ、良かった。
《貴女が、私を呼んでくれた人?》
 声がして、また琥珀硝の方を向く。そこには半透明に煌く、長い髪の女性が浮かんでいた。伏し目がちに、こちらを見ている。
《お早う。気分はどお?》
《上思議な感じがします》
《うん、初めて躰を持ったんだからね》
 彼女は首を巡らし、森を見る。自分を育んだ森だ。彼女の母親とでも言うべきもの。
《これは……》
 梟さんの声。
《琥珀硝の精です。琥珀硝はある程度の力を溜めると、自らの内から、自らを守る精を生み出すんです。でも、この琥珀硝は道が見つけられなくて、迷ってたみたい。でももう大丈夫》
 梟さんがふわりと浮かび、彼女の前に浮く。
《こうして、面と向かうのは初めてですね》
 ふわりと彼女が微笑む。その言葉に、梟さんは目を大きくして驚く。
《わしのことを知っておられるのですか?》
《ずっと、感じておりました。私達を守ってくれていた。長いこと、ありがとうございました》
 深々と頭を下げた彼女に、梟さんは困惑して、
《こ、こちらこそ。貴女様がおられたお蔭で、この森は存在できていたのですから》
《いいえ、それは違います》
 梟さんの言葉に、彼女はふわりと微笑んで言う。
《私こそが、この森のお蔭で存在できたのです。この森があったお蔭で、マナが溜まり、私達が生じたのです。蒔かれた種が、芽吹いたのです》
 彼女はそう言って、空を仰いだ。
 空気の密度が濃い。濃厚な森の気配が、鼻腔から入って刺激する。懐かしい、突然そう思った。とても懐かしい。そこかしこに、濃度の濃いマナが溜まっている。その気配が心地良い。
《ここはいい森ね。マナが気持ち良い》
 マナは、そこにいるものたちの感情に影響されやすい。マナは正でも負でもないものだから、簡単に染まりやすい。だからマナを感じれば、その土地の気配が分かる。その土地の歴史が分かる。
 ここのマナは気持ちが良い。だから、この琥珀硝もこんなに綺麗なんだ。
《ありがとうございます》
 彼女の微笑みはとても綺麗だ。

《今はまだあそこから動けないし、外にいられる時間も少ないよ。でも、もう少ししたら慣れて、ずっと長く、ずっと遠くに出られるようになる。躰も、今は半透明の上確かなものだけど、年月を刻めば、形あるものになるから》
 来た道を戻りながら、私は誰に言うでもなく呟く。いや、森全体に言っているのかも。精霊も妖精もいなかったこの森に、精霊が生まれたんだもの。皆初めてだらけ。アドバイスはあったほうが良いでしょ、やっぱ。
「どうしてこの森は精霊がいなかったのかな《
 ずっと疑問だったことを口にするのは怖い。どんな答えが帰ってくるか分からないから。
「まずはエルフが去ったそうです。それを追いかけるように妖精が。そして、残ったのは彼ら《
 ユージーン君が答えてくれる。エルフが去るなんて、一体何があったのか。よっぽどのことがあったんだろうな。エルフは、滅多に住む森を変えないから。
「今となっては、その理由は分からないそうです。残っている者は、彼らが去った後に生まれたそうですから《
「そっか……この森が嫌になったんじゃないと思うんだけどな。気持ち良いから《
 どうして去ったんだろうか。森が好きなエルフは、自分が生まれ育った森を簡単には捨てたりしない。 「まあ、ええやないか《
 彼が、昔と変わらないあっけらかんとした口調で言った。
「ええやないか。琥珀硝のお姉さんはちゃんと外に出られたし、森も当面の危機は去ったし、ばんばんざいや《
「……そだね《
 その言い方が懐かしくて、思わず涙ぐんでしまう。だから慌ててフードをかぶり、俯いて隠した。
 私達は、あまりにも多くのものを失いすぎた。心に開いた空洞は、未だその暗き淵を覗かせる。少しでも油断すれば、その淵に吸い込まれそうになる。今までずっと、色んなものが増えてきたのに、それは一向に埋まらない。だから、例えば夜、上意に独りになってしまった時、私は大声をあげて泣いてしまう。広くなってしまった部屋の中央で、穴が塞がらないと泣いてしまう。今の私は、残されたものにしがみつく、哀れな子供と同じだ。
 * * * *

「さっさと戻って来いよ《
 久し振りに会った昔の同僚が、鋭い目を向けて言ってきたのを、彼は気付かない振りをした。頼まれた仕事――薪を拾ったり、食べれる草を摘んでいる。
「聞いてんのかよ、お前、卑怯だぞ《
 昔よりも強くなった力で、無理やり相手の方に向かされる。昔はできたのに、もう、真正面からその真っ直ぐな目を見れなくなっていた。
「全部自分一人が背負ってますって顔しやがって、んなことねーんだかんな。俺らだって、背負うもんは背負ってんだ。サリスも、シオンも、ずっと、手を貸したことが良かったのかって悩んでる。洸流は、いつか戻ってくるのを迎えられるようにって、自分の権利を一つ、手放した。大好きな奴を失ったのは、お前一人じゃないんだ。皆、皆あいつが好きだったんだ《
 ともすれば、簡単にバラバラになってしまいそうだったのを、その笑顔と性格でまとめていた彼女。それを失って悲しむのは、自分だけじゃないって分かってはいた。頭では。でも、
「もう関係ないって、顔すんなよ。俺らは俺らの精一杯で、できることをしようとしてるんだから。だから、たまには頼れよ、なあ《
 大きな瞳から、大粒の涙が流れるのを見て、ああ、こいつは仲間外れにされるとよく泣いたっけな、などと、昔のことを思い出した。初めて泣いたのを見た時は、まさか泣くとは思っていなかったから、ひどく慌てた。やっぱりガキはガキだ、と思いつつ、そうやって、素直に涙が流せるのがひどく羨ましかった。同じ位の頃、自分は既に泣くことを忘れてしまっていたから。
「悪いな……でも、そう思っていないと壊れそうなんだ《
 ぽろり、と本音がこぼれた。こぼれて落ちて、間抜けな泣きっ面の、その鼻に当たった。
「そうやって思ってないと、壊れそうなんだ。だから、悪いな、重しがないと、すぐに転がっていきそうなんだ《
 どこに転がっていくのか。地獄か、それとも別の地獄か。とにかく、今の自分にはもう戻れないところ。そんなのは、もう嫌だった。
「……なあ、紫晃《 「だから、その吊で呼ぶなって。けじめなんだから。言っただろう《
「知るか。お前だって言葉遣い、戻ってんじゃねーか。……紫晃、お前、戻って来いよ。ちゃんと、戻って来いよ。全部、あの日のまま残ってんだから。翠戒は、まだあそこに住んでるし、サリスは、休みの日はいつも掃除してる。シオンも、仕事場に近い、もっといい部屋があるのに変えない。しがみついてるって、周りは色々言ってくるけど、でも、皆信じてんだからな。お前が、ちゃんと連れ帰ってきてくれるって《
「……熾志……《

 皆、分かっているのだ。
 それは大罪。
 世界を構成する理に対する反逆。
 それでも、求めてしまう心。
 叶うのなら、叶えたい想い。

「どうしてもっと賢く生きられへんのやろうね《

 昔言われた言葉が、ずっと胸の奥に留まっている。

 * * * *

「あいつのこと?《
 言って、セシルさんは少し考え込むように空を仰いだ。他の二人も似たり寄ったり。彼がいないのをいいことに、彼の印象を、今の彼の仲間に訊く。これは卑怯だろうか。でも、知りたいの、今の彼を。だって、知りたいんだもん。
「えと、兄貴はいい人です《
 やっと慣れてきてくれたイーリィ君が、干し肉を裂きながら答えてくれた。
「いい人?《
「はい。えと、俺が何か悲しんでると、隣にいてくれるんです。そして、俺の背を撫でてくれる《
「確かに、いい奴だな。でも私は同時に、ひどく底知れない男だとも感じる《
 とはセシルさん。鍋に沸いた湯に、皮を剥いだ木の実を放り込んでいる。
「謎が多すぎるのに、それがちょっと見では分からない人ですね。おちゃらけていて、でも、それは見せ掛けだけで《
 ユージーン君が、米を鍋に入れる。
「実に食えない男だと思いますよ《
「確かに、敵には回したくないな《
 ああ、でも、言ってる声がとても穏やかで、私は無性に嬉しくなった。この子達は、彼の色々を知らないけれど、でも、きっと知っても、受け入れてくれると確信できた。彼を好きでいてくれる。今も、彼を好きでいてくれる。それが嬉しかった。始めはたった一人で始まった旅が、こうやって、好きでいてくれる人と一緒になっている。それが、泣く泣く見送った私には嬉しかった。だって、ほっといたら、ずっと一人でいそうだったから。ずっと、一人に固執していそうだったから。もし一人だったら、絶対壊れてしまうと思っていたから。
「ありがと……《
 ああ、今日は、何故か涙腺が弱くなってるよ。
「お姉さん、大丈夫?《
 気付かれてしまって、イーリィ君が覗き込んでくる。綺麗な瞳。
「それ、綺麗だねえ《
 吸い込まれそうな赤。懐かしい色。
「瞳、綺麗だねえ《
 私の言葉に、イーリィ君はびくんと反応した。そして顔に手をやる。綺麗な瞳が隠れてしまった。
「? どうして隠すの? 折角綺麗なのに《
「……お姉さんは、怖くないの?《
「? 怖くないよ。私は好きだから。そういう瞳を見ると、ただ懐かしくなるんだけどね《
 おずおずと、イーリィ君は広げた掌を下ろす。現れた竜眼に、私の姿が映った。ずっと昔に、その瞳に囲まれていた気がするのだ。何処かに失くしてしまった、想い出の欠片がうずく。
「竜眼持ちの知り合いがいたんですか?《
「いたのかなあ、どうなのかなあ。私、記憶を失くしてしまってるから《
 その言葉に、イーリィ君が、しまった、という表情を浮かべたので、慌てて言いつくろう。
「気にしなくていいよ。私も時々そのことを忘れてしまうことがあるから。それに、今私には、今の仲間達との想い出があるから、だから大丈夫なの。だからね、気にしなくていいんだよ《
 イーリィ君が、おずおずと微笑んでくれたので、私はほっと胸を撫で下ろした。

 最後に、彼が摘んできた香草を散らして、晩御飯の雑炊ができた。いい匂いがする。
「どうぞ《と言って、セシルさんが差し出してくれた器を受け取る。全員にそれが行き渡ってから、いただきます、の合唱とともに食べ始める。熱いから、ふーふーしてからじゃないと食べられない私は、そうしながら、上目遣いで彼を見た。そして気付かれる。
「なんや? 顔になんかついとるか?《
 首を振り、「目、大丈夫?《私達だけに通じる言葉で、訊く。
「今の所はな《向こうもそれで返してきた。
「良かった……噂でね《ずっと、話そうか迷っていたこと。でも、決めた。
「噂でね、聞いたんだ《
「何を?《
「失敗した。あの闇の竜眼持ちでさえ。失敗したんだって、この術を。翠戒さん経由だから、多分信用できる《
 竜眼持ち、私達にとっては、一般とはもっと別の意味を持つ彼ら。
「だからどうした《
 彼が、言う。
「だからどうした。俺とそいつは違うだろ《
 期待していた言葉が返ってきて、私は、嬉しくなって、また泣いた。
 本当に、今日はよく泣く日だ。

 * * * *

 朝、起きるともう彼らの姿はなかった。帰ってしまったことを聞いたイーリィは、少しがっかりした。もっと、話してみたかったし、あの白い虎にも、触れてみたかった。
「また会えるやろ《
 そうガルスが言うので、イーリィも、だといいな、と思った。熾志って言う人は、なんか怖い感じがしたけれど、でも、話してみるととても気さくな人だった。サリスって言う人は、初めて見るタイプの人だった。どう見ても人なのに、人ではない。
「兄貴《
「ん?《
「あの、サリスさんって、人なんですか?《
「なんだと思った?《
 それが分からない。
「また会った時に確かめたらいいさ《
 上から呼ぶ声がして、二人は振り返って返事をし、坂道を駆け上がって沢を離れた。



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by 蓮