| 《Weitergehen》 |
| Weitergehen 第廿二話 何処 |
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病室と言うのは、どうしてこう殺風景なんだろうか。あっさりしすぎている食事をしながら、ユージーンは病室を見回しながら思った。華やかなのは、側卓に置かれた花瓶の中の花ぐらいだ。あまりにも殺風景だからと、イーリィが持ってきてくれた花だ。 「ほら、よーく噛んで食いや。そうせないつまで経っても点滴は外れんぞ《 見舞いに来たガルスが、一向にスプーンを口に運ばないユージーンに呟く。ユージーンの白い腕には、まだ太い点滴の管がつながっている。 「分かってますけど。食欲がないんです《 かた、とスプーンを置いてしまう。頬に赤味が戻ったとはいえ、まだまだ本調子ではない。 「とにかく、ちゃんと食べて力をつけるんや。いーな《 はい、と力なく返事をする。 「そーだ《ドアを開けたガルスを呼び止める。「セシルはどうしました? 大丈夫ですか? 大分、落ち込んでいたから《 「ああ。心配せんと、お前はゆっくり養生し《 ユージーンは、眉をしかめていた。 「兄貴!《医者の部屋から出てきたガルスに、イーリィが駆け寄った。「どうでした?《 「ああ。後二、三日もしたら、退院できるとさ。回復の早さに驚いとった。まあ、旅に出るにはまだもうちょっと宿屋で静養せんといかんけどな《 「で、その……先輩は……《 「ああ……とりあえず場所を変えよう《 二人はそこから離れ、病院の前にある喫茶店に入った。ガルスは珈琲、イーリィはミルク。窓際の、人々から離れた位置の席に着く。ついでに昼食としてサンドイッチを買った。 「あの……《ミルクにも、サンドイッチにも手をつけず、イーリィは切り出した。「先生には、先輩がいなくなったこと、話したんですか?《 沈黙が答え。 セシルがいなくなったのは、三日前の朝だった。まだ自由に動けるはずないのに、彼女の姿はどこにもなく、街中を捜しても見つからなかった。荷物から消えたのは彼女の銃やナイフ、携帯食料などは、全く減っていなかった。 「あいつに話したら、また責任感じて飛び出しかねない。やっと安定したって言うのに《 セシルが消えて三日。この間、ユージーンの病状は安定していたとは言えなかった。大量に血を流したことは、確実に彼の身体を上安定にさせていた。薬の為もあるのだろうが、ほとんど寝ている状態だった。起きていても、まだ半分は寝ているように、意識が完全には覚醒しない。それでも、昨日からは日中の大半は起きていられて、食事も流動食から固形食に変わった。 「先輩……どこに行っちゃったんだろう《 イーリィの大きな瞳に、涙が溢れていく。この三日、セシルを捜し回ったのはイーリィだった。朝も早くから飛び出して、夕方遅くに帰ってくる。グリューエンがついているとはいえ、何かあったら危ないからとガルスが止めても無駄だった。彼が、その小さな身体に大きすぎる責任を感じているのは明白。 ガルスは、ほとんどユージーンの看病に徹していた。とろとろと寝たり起きたりする彼を看病するのは、小さなイーリィには無理と判断したのと、彼だとすぐに表情に出てしまうからだ。ユージーンにセシルの事を訊かれたら、イーリィではすぐにぼろを出してしまう。 「大丈夫や、心配せんでええ。ほら、ちゃんと食べる。お腹空いとるやろ《 はい、と小さく答えて、もごもごとサンドイッチを食べだす。ガルスも自分のを食べる。食べながら、もうセシルは戻ってこないだろう、と思っていた。自ら命を絶つことは、彼女のことだからない。そんなことは彼女はしたくても、出来ない。約束を破ることになるから。だから、命に関しては安心できる。でも、そこにいるのは彼女なのだろうか。 「……先生の様子はどうでした?《 セシルを捜すことに忙しくて、イーリィはユージーンの所にあんまり行っていない。 「元気やったで。あのまんまやったら、予定も早くなるかもしれん《 「そっか。良かった《 「せや。これ食ったら見舞いに行こう。イーリィがあんまり顔出してくれんから、寂しがっとる《 「……はい《 ユージーンの病室は、病院の奥にある。行政が運営しているけっこう大きな病院なので、入院棟があった。そこの二階奥。階段をとんとんとんとリズムよく駆けの上がるイーリィの後を、果物を抱えたガルスが続く。果物はユージーンの好物だ。二人が二階の床を踏んで、病室のあるほうへと行こうとした時、音が鳴った。 がしゃん! それは、セシルが入院していた病室の方から聞こえた。 勢いよく駆けつけたガルスとイーリィが見たのは、空のベッドを前に、看護士に詰め寄っているユージーンの姿だった。聞こえた音は、ユージーンの点滴の瓶が堕ちて割れた音だったらしい。床にガラスと残っていた薬が撒き散らされている。 「ここにいるはずの人はどこにいるんですか?《 抑えてはいるが、その声は叫んでいるのと同じくらいの迫力があった。詰め寄られた看護士はまだ若く、少女のような愛らしさを持つ表情を、恐怖で引き攣らせていた。 「止めるんや、ジーン《 慌ててガルスが掴みかかり、ユージーンを看護士から離す。看護士は、ごめんなさいとすみませんを繰り返して、雑巾を取ってきます、とイーリィの脇をすり抜け駆けていった。 「ガルス! これはどういうことなんですか?《空のベッドを指差しながら、ユージーンは叫んだ。それが悲鳴に聞こえて、泣く代わりに叫んでいるようで、イーリィは胸が痛んだ。 「どうして彼女がいないんですか? どうして《 「……《 「いつからなんですか。彼女が消えたのは《 病室は、セシルがいなくなってから、ずっとそのままだった。いつ運び込まれるかもしれない彼女のために、医者がそのままにしておいてくれたのだ。ユージーンと同様、彼女もまた本調子ではないのだ。 「み、三日前からです《勇気を振り絞って口を開いたイーリィを、ユージーンが睨みつけた。が、イーリィの顔が歪んだので、すぐに目を逸らす。でも、もう遅かった。「ご、ごめんなさい……《ぼろぼろと、イーリィの瞳から涙が溢れて、床に落ちていく。ぽとり、ぽとり…… 「朝、看護士が朝の検診に来たらもういなくなっとった。どこを捜してもおらん《 イーリィの代わりにガルスが言葉を引き継いだ。 「僕の所為だ《 ぽつり、とユージーンが呟いた。ふらり、と上体が傾いたので、慌ててガルスが支え、そのままベッドに腰掛けさせる。 「違う、俺が《 「二人とも、自分を責めるんはよすんやっ《 ガルスが言って、二人の口をつぐませる。 「……今更自分を責めたって、セシルは帰ってこんやろうが……今回のことは、誰も悪くないんや。ただ、悪いことが重なっただけ《 「ですが……《 「とにかく、病室に戻るぞ、ジーン。立てるか?《 「……なんとか《 よろり、と立ち上がるユージーンを、ガルスが支える。イーリィも反対側に回って、彼を支えた。 三人が外に出ると、さっきの看護士が雑巾を持って立っていた。 病室に戻ってすぐに、ユージーンはベッドに寝かされた。医者を呼ぼうとする二人を止めて、ユージーンは枕を背もたれに上半身だけ起こした。イーリィがベッドの縁に手をかけ、心配そうに見ているのに気付いて、ユージーンは微笑んだ。微笑めるだけ余裕が戻っているか、とそれを見てガルスは思う。 「……今回の件は、ジーンにもイーリィにも悪いところはない。それに、自分を責めたってセシルは戻ってこんのやから《 自分を責めることで、実は自己防衛をしている。自分はこれだけ自分を責めているのだから、もう誰も自分を責めないで。罪悪感、それは甘美な響きだ。それさえ持っていれば、全てが許されたように感じる。 昔、自分が嵌った誘惑。そして、未だに抜け出せない誘惑。 「……イーリィ。行くぞ《 「――えっ?《 ドアを開けて出て行くガルスに面食らいながらも、イーリィはそれに従って外に出た。今のユージーンを放っておくことは出来なかったが、ガルスがこういう雰囲気の時には、従っておいたほうがいいのだ。出てから、振り返って、「また来ます《と言ってドアを閉めた。それから廊下を歩いて、階段を降りて、入院棟から出たその時、くぐもった慟哭が聞こえてきて、イーリィの胸は締め付けられた。 次の日、見舞いに来たイーリィを迎えたユージーンの顔は明るかった。でも、目が赤い。だから、イーリィも努めて明るく振舞った。はじめこそユージーンの状態についての話をしていたが、次第に話題はセシルのことに向かっていった。 「俺、ずっと捜してたんです。でも、手掛かりさえないんです。誰も先輩のことを見ていない《 水を換えてきた花瓶を置きながら、イーリィはこぼした。ユージーンはその動作を見るともなく見ている。 「セシルはそういうことのプロだから。きっと、誰の目にもつかないように行動したんでしょう《 「プロ、ですか?《 気がつく。そういえば、自分はセシルのことをよく知らない。あれだけ一緒にいたというのに。それを言えば、ユージーンもガルスもそれは同じだ。自分は三人のことを何一つ知らない。 「……知っていることが、そのままいいことではないんですよ《 まるで心を見透かしたみたいに、ユージーンが言った。 「相手の全てを知っていることは、いいことではないんです。むしろ、知っている所と知らない所が程よくあるほうがいい。相手のことを知ることは、確かに嬉しいことだけど、何でも知ろうとすることは、相手を支配しようという驕りです。それに、何でもかんでも知っている相手と一緒にいたって、あまり面白くないでしょう。自分の知らない所があって、そういう部分が織り成すその人の所作が、自分をひきつけるのだから《 言いながら、ユージーンの瞳はイーリィを見ていないようだった。セシルのことだろう、とイーリィには容易に想像がついた。 「……先生は、先輩のことが好きなんですね《 深い考えがあって訊いたことではない。ただ、口から言葉が出るのを止めなかっただけ。ユージーンはその言葉にちょっと面食らったが、すぐに今までで一番いい顔をして、 「そうですね。僕は、彼女のことが好きなのかもしれない《 「かもしれない?《 「ええ。恥ずかしいことですが、僕は今まで恋というものをしたことがないんですよ《 微笑むその姿は、まだ幼い少年のように見えた。 「エルフという血の所為なのか、はたまた元々の気質の所為なのか。今までそういう気持ちを持ったことがない。でも《 「先輩には、その気持ちを感じたんですか?《 「え、あ……そう、なんでしょうか……《頬を赤らめ照れている。何か新鮮だ、イーリィは思う。 「今感じている気持ちがそうなのなら、そうなんでしょうが……まだ分かりません《 そんなユージーンの姿を見て、イーリィはいっそう切なくなった。どうしてこんなことになったのか。 「イーリィ、彼のことを責めてはいけませんよ《 あの少年の顔が浮かんでいたイーリィは、ユージーンのその言葉で我に返る。 「何があってああなったのか、それは分かりませんが。でも、自分の大切な人が、自分のことを忘れて、誰とも知れない相手と親しげにしている姿を見るのは、辛いでしょう。想像してみましょう、自分にとって大切な人が、自分のことを忘れ、全くの他人と仲良くする姿を見る。辛くはないですか?《 もしマーマが、自分のことを忘れて、自分じゃない誰かを我が子のように可愛がっていたら、きっと、いや、絶対やきもちを妬く。醜く嫉妬して、相手を憎む。 「・・・・・・つらいです《 「だから、彼を責めるのはよしましょう。したことは誉められたものではないけれど、その気持ちは、分かるものだから《 「はい《 ユージーンが退院したのは、それからまた二日後のことだった。少ない荷物をまとめ、宿に下がる。まだまだ本調子ではないが、街の中を回るのには支障はない。イーリィと二人、セシルの痕跡を探す。そして、いつのまにか二人の足はあの場所――町外れの空き地に向かっていた。 「なんだいあんたら。危ないよ、こんなとこにいたら《 二人がぽつねんと立っていると、労働者が一人、話しかけてきた。多くの資材が置かれ、そこここで工事が始まっている。確かに危ない。 「すみません。あの、先生……《 行きましょう、とイーリィが口を開く前に、ユージーンが労働者に向き直った。 「すみませんが、一つお尋ねしてもいいでしょうか《 「ん? なんだい?《 「ここ最近、女の子を見ませんでしたか? 年の頃は十六、七で、青みがかった黒髪。背はこれぐらいで《手で示す。「男のような格好をしている。帽子を目深に被った子なんですが《 ああそう言えば。イーリィは気がついた。自分は街の色んなところを回ったけれど、ここにはついぞ足を向けなかった。向けたら、またあの時の気持ちを思い出してしまうから。 「女の子か? ん~……《顎に手を当て、考え込む。「おい! 何か知ってないか?《 離れて作業をしていた同僚を呼ぶ。呼ばれた男は、何がだよ、と言いながら駆け寄ってくる。それにまた同じ説明を繰り返す。 「……で、その子はあんたらのなんなんだい《 「仲間です《 ユージーンが迷わず即答する。 「だったら、何で俺らに訊く?《 「ちょっとした勘違いで仲違いをしてしまったんです《 「ほんとか?《 「ほんとです!《イーリィが叫ぶ。全員の視線が自分に集まり、頬が紅潮する。それでも、懸命に言う。「ほんとに、俺達の仲間なんです《 「…………それぐらい前だったら、見たかもしれない《 「ほんとですか!《 「その子じゃないかもしれないぞ《 前置きをして、男は言った。数日前、朝早くに現場に来た彼は、資材置き場に佇む小さな影を見た。まるで、この世の終わりのような横顔。声を掛けるのさえ躊躇わせる。彼女はそのままふらふらと、歩いていったという。 「セシルだ《ユージーンは呟いた。頭を下げて礼を言い、どちらの方向に言ったのかを詳しく尋ねる。男の指し示す方向に、二人は逸る気持ちを抑えて歩き出す。 「やった。良かったですね、先生《 「はい《 かすかな手掛かりだが、何もなかった今までとは大違いだ。これでやっと追える。 進んでいくと、緩やかな坂になり、二人は下へと進んでいく。いつの間にか、周りは木々に囲まれるようになった。小川を越えて、どんどん森の奥へと入っていく。 「……ここから先はこのままでは危険ですね《 岩に腰掛けて、ユージーンは呟いた。その顔が少し青い。まだ完全には回復していないみたいだ。イーリィもその隣に腰掛ける。ユージーンのことがなくても、このまま先に進むのは危険だった。二人は街中で手掛かりを探すことを前提にしていた。だから、装備が甘い。身軽に動けるようにと、ほとんど何も持って出なかったのだ。 「一度引き返して、旅装を調えましょう。イーリィ?《 いきなり立ち上がったイーリィに、ユージーンが声を掛ける。それにイーリィは、何か変な感じがします、と言って、すたすたと歩いていってしまう。慌てて追いかけたユージーンは、大きな岩の前でイーリィを見つけた。それは半分に割れていて、片割れは地面に転がっていた。その断面は、まるで鏡のようにつややかで、陽光を反射して光っている。小さい影と大きい影が、それに映っていた。 「これは……《 「触れないで!《表面を撫でようとしたユージーンを止める。「何か知らないけれど、変な感じがするんです《 イーリィの直感を、ユージーンは信じた。彼はその瞳の為、その育ちの為に、そういう獏としたものを感じる力が強い。言いつけ通り岩に触れないようにその周りを見たユージーンは、見慣れたものを草むらの中から見つけた。セシルの帽子。見間違えるはずがない。 「やっぱり、セシルはここに来たんですね《 手にした帽子を撫でる。ここに彼女は来た。今はどこにいるのだろう。一人で泣いてはいないだろうか。 「ここ、別のどこかにつながっていたみたいです《 ぽつり、とイーリィが告げた。 「別の? ワームホールですか?《 ワームホールとは、空間を曲げて、遠く離れた地を結ぶものである。自然発生するもので、予測などは出来ない。一般的には神隠しの原因とされ、恐れられている。 「はい《答えながら、視線を遠くに飛ばす。「何かが通った感じがします《 「分かるんですか?《 「はい、何となく……《 「追えますか?《 イーリィは目を見張る。躯の中のグリューエンがざわついている。 「……はい、追えます《 イーリィはユージーンを見た。ユージーンもイーリィを見た。やっと、光が見えた気がした。 「悪いが、わいは付き合うことが出来ん《 二人の報告を聞いたガルスは、その顔を見ずにそう答えた。 「な、何でですか? 先輩は仲間なのに。兄貴は先輩のことが心配じゃないんですか!《 ガルスは答えない。 「どうしてなんですか?《 「イーリィ……《なおも言い募ろうとするイーリィの肩に、ユージーンが手を置く。自分を見上げてくるイーリィに優しく微笑んでから、ユージーンはガルスの方を向く。 「理由があってのことですか?《 無言。 「……分かりました。セシルは僕とイーリィで探します。貴方は、貴方のしたいようにして下さい《 「……悪いな《 やっと口を開く。 「いいえ。いつものことですから……イーリィ、ガルスにはガルスの目的があるようです。それを邪魔するのは嫌でしょう《 「……はい《 渋々イーリィは承知する。ガルスは目線が合うようにしゃがむと、「ありがとうな《 「いいえ《ふるふると首を横に振る。「でも、また会えますよね《 「……ああ。もちろんや《 ぐしゃぐしゃとガルスは無造作にイーリィの頭を撫でる。 「すぐに出発は無理だろ。お前の身体のことのあるし《 「はい《 すぐに旅立てるほど、ユージーンの身体は元には戻っていなかった。 「旅立ちは、一緒にしようや《 「はい。イーリィもいいですか?《 「もちろんです!《 意識がゆっくりを覚醒していく。まだまだ寝ていたいのに、それには容赦がなかった。しかし、心のどこかでは、それも嫌だと思う。浅い眠りは夢を見せる。そして、夢は決まって悪夢になる。あの瞬間の嫌な夢。起きていても浮かび上がってくるそれは、しかし、まだ優しいものだった。まだそれは幻だと思える。夢は容赦がない。現実との区別がつかないその中で、自分は何度も彼を刺す。止めてくれ、と叫んだとしても、身体は言うことをきかず、何度も何度も同じ動作を繰り返す。 夢と現の狭間で揺れ動き、結局は、現を選び取る。 そして、目を開ける。 「……ここは?《 目を開けた先には、知らぬ風景が広がっていた。病室ではない。どうやら倒れてまた運び込まれたわけではなさそうだ。消毒液ではない、生活の匂いがする。懐かしい匂いだ。 「っ……《上体を起こすと、身体が悲鳴を上げた。すぐにそれはひいていったが。 それがひどく懐かしい。まるで、あの時の夢を見ているみたいだ。部屋を見回すと、その違いで現実だと分かるが。 がちゃり、部屋に一つしかないドアが開いた。そこから顔を出したのは…… 「あ、気が付いたんだ《 若い男だった。 |