| 12:手紙を書く |
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お久し振りです。私のことを覚えていますでしょうか。 いつも書き出しに困る。なんと書いたらいいものか。もし手紙を貰っているのであれば、お手紙ありがとうございます、と書けばいい。でも、こちらか出す時、書き出しに困る。 でも、便箋を前にペンをいじくりながら、さあなんて書こうかしら、と思う時は、苦労の半分は終わっている。 相手のことを考え、便箋を選び、ペンを選び、それが苦労だ。苦労というが、半分は楽しみでもある。 相手のことを思い、それは大抵は長いこと会っていない相手だ。時には初めての相手もいる。会ったことがないばかりか、相手はこちらを知らない時もある。そんな相手に出す便箋はこちらの顔で、ペンの色はこちらの声だ。 選ぶのに苦労しても不思議ではないし、それを楽しんでも不思議ではない。 仲のよい友人同士であるのなら、ポップな感じの便箋を。 目上の相手であるのなら、無地のシックな便箋を。 母であるのなら花を、父であるのなら草を、姉であるのなら海を、兄であるのなら木々を、弟であるのなら犬を、妹であるのなら猫を描いた便箋を。 そしてペンは、細いの、太いの、中くらいの。色は黒、青、深緑。 相手に、便箋に合わせて、選ぶ時は楽しい。 文章は、そのまま思いつくままに、事前に書いておいて、書いては捨てて書いては捨てて…… そうして書き上げた便箋を、丁寧に折り畳み、恭しく封筒に入れ、封をする。切手を貼り、投函した後、私はポストに頭を下げる。 |
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