13:洗濯物を干す

 安心する風景というのが人にはそれぞれあるのだと思う。
 僕にとってそれは、洗濯物を干す母の後ろ姿だ。
 ランドセルと背負い、角で友人と別れ、一人で辿る家路。
 すぐそこだけど、今まで賑やかな空間にいた反動で、心はどこか寂しい。
 が、庭で洗濯物を干す母の後ろ姿を見ると、途端に心は弾むのだ。
「ただいま!」とランドセルを鳴らして叫ぶように言うと、母はくるりと振り返り、
「お帰りなさい」と笑ってくれる。
 それが嬉しかった。

 今、僕は再び母に迎えられる。遠い日の母に。
 遠慮がちに、
「ただいま」
と言うと、
「お疲れさま」
とあの日見た母が振り返って笑った。
 僕はあの日の子どもに戻って、その母の腕の中に飛び込んだ。


by 鳥篭/お題配布場所
http://uccello.skr.jp/100/






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