04:歩く

 彼女は、一歩一歩、大きく、大地を踏みしめるように歩く。
 初めて、彼女が歩いているのを見た時、私は、
 ああ、アレが歩くって言うんだ、
と思った。
 普段何気なくしている、歩く、という行為。誰もが、物心ついた時からしている動作。初めて歩いた時なんて、誰も覚えていない。ただ、親が時折口にするだけ。
 だから、誰もが、歩く、という行為そのものに、何の感慨も抱いていない。
 でも、彼女は違う。彼女を見ていると、歩く、ということの意味が、ひしひしと胸に迫ってくる。
 歩く、
ということは、
 生きる、
ということなのだ。
 一歩、一歩、また一歩。彼女は歩く。歩き続ける。生き続ける。全身で、生きているということを表現している。

「楽しそうに歩くね」

と彼女に言えば、

「だって、歩くのは楽しいことだもの」

 そう答えが返ってきた。

「私はまだ、歩き始めて三歳だから」

 そんな彼女の足は、機械仕掛け。


by 鳥篭/お題配布場所
http://uccello.skr.jp/100/






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